2014/12/17

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12月12日に行われた淘宝(タオバオ)の “双12”が盛況のうちに幕を閉じた。当日支付宝(アリペイ)でどれ程の売り上げがあったかなどの詳細は公にされていないものの、確実に言えることは、今回の双12は“双11”の単なる延長ではなく、モバイルでの支払いを促進し、ユーザーの潜在的必要を発掘し、サービス関係の商品を推奨した点で際立っていた。

これまでは、1ヶ月空けてのこうしたフェアは、ユーザーの熱中度を逆に下げてしまうのではないかと考えていたのだが、各方面のフィードバックから見るに、例えばタクシーの割引サービス、スーパーやコンビニ、パン屋などでの割引、家政婦予約割引サービスなどはネット購入の新たな波を引き起こし、ユーザーを引き付けておくための良い方策だったように思われる。しかも阿里巴巴(アリババ)CEOの马云(ジャック・マー)は今回の双12に5000万元(100億円)を投資したと言われているが、この額をどのように活用したのだろうか?以下に今回の“双12”で何が行われたのか述べたみたいと思う。

 

 

双11におけるネットユーザーの認知は“買う”ことに集約されるが、では“双12は”どのようにユーザーを引き付けたのだろうか?必ず買いたいもの、買おうか迷っているもの、買おうかどうかまだ気づいてさえいないもの、これらはすべて双11で特価で提供され、ユーザーは既に購入済みのものばかりだ。それで双12が成功するためには双11との差別化を図ることが重要であり、ジャック・マーはこの簡単な道理をわきまえていて、今回積極的に各モバイル端末での優待券を配布し、実店舗とモバイル支払いが提携してのキャンペーンは実によい方策であった。

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1、タクシー:双12当日朝2時からの24時間、全国多くの地区で支付宝(アリペイ)払いをする乗客は初乗り0円からのサービスが受けられる。一人2回までだが、当日の出勤・帰宅時の交通手段を支えるには十分だろう。

 

2、スーパー、コンビニ、パン屋:あるスーパーを例にとると、100元の買い物で50元割引が受けられる。実際はいくら買っても最大50元の割引、しかも一人1回までのサービスではあるが、店舗にとっては買い物客の増加が目的であり、支付宝(アリペイ)にとっても、モバイル払いで受けられるこのサービスにより特に普段獲得が難しい中高年齢層の顧客を多く獲得できることは大きなメリットである。

 

3、レストラン:スーパー、コンビニのサービスとほぼ同じく、最大50元の割引が受けられるが、ただ今回は顧客が日ごろ最もよく注文するメニューに限られた。

 

 

これらモバイル端末利用で受けられるサービスは価格的にはさほど大きくはなかったかもしれないが、少しでも安く購入したいユーザーの願いを満たし、同時に中高年層のユーザーを淘宝(タオバオ)に引き付け、支付宝(アリペイ)に取り込めたことは大きな意義があった。

 

 

双11におけるモバイル払いの成約率が42.6%に達したことから見ても、今後モバイル端末による支払いはネット販売各社の次の競争点になることが予想される。例えばタクシーの予約&モバイル払いに関するソフトウェア分野に最近腾讯(テンセント)が加入し、ここはアリペイよりもサービス幅が大きい。さらに百度(バイドゥ)傘下のUberも加入し、今この業界は三つ巴の様相を呈している。しかしまだ考慮すべき課題も多く、便利ではあるもののどのように予約して乗り込むかは引き続き考慮する余地があり、またサービス面でも例えば運転手を指名し1分待つたびに8元のチケットをプレゼントするようなサービスはさすがに毎日提供するわけにはいかない。またタクシー以外でも、今回スーパーやコンビニでのモバイル払いを拡大したものの、1日1回だけの最大20ないし50元のサービスに留まり、しかも店舗内でWifi使用が集中し支払い系統に支障を来してしまったのはいただけなかった。

 

1、特価不動産:双12当日の10時に “1212”特価不動産が数量限定で売り出された。例えば上海の125万元(2500万円)の家が最低96万元(1920万円)で購入でき、北京方面では3万元(60万円)で25万元(500万円)になる不動産購入サービスを実施した。統計によると、販売開始3分で17の家が購買され、ユーザーは総額で800万元以上のサービスを受けられた。また国内だけでなく全部で9か国15都市70の海外不動産もユーザーを虜にし、わずか2時間で販売された。

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2、みんなそろって彩票(宝くじ)を買おう!:双12”フェア当日「みんなそろって彩票(宝くじ)を買おう!」というPRがなされてからたったの6時間で、淘宝(タオバオ)が準備していた1323万枚が完売した。今回の「みんなそろって彩票(宝くじ)を買おう!」キャンペーンはSMSの特徴を活かしたPRであった。メール、微博(中国のツイッター)を通して、友達同士でQRコードを送りあい、互いに協力し合って、やっと購入できるという特徴があった。

 

各種サービス提供の普及について

 

    生活レベルが高くなるにつれて、清掃サービス、治療サービスなど形のない商品が我々の生活に必要になってきた。淘宝(タオバオ)もこのニーズにこたえ、サービスの項目も日に日に増えている。

 

“双12”フェアにおいてもこれらのサービス購入数は際立っていた。“双12”当日8時間内の歯医者の予約数は一般の総合病院の一つの科の1ヶ月の診療数に匹敵する。24時間の内に2万4千人の家政婦が予約された。

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 これらの数字には本当にびっくりさせられた。淘宝(タオバオ)で提供されるサービスがこれほどにもハイクオリティのものであるとは思っていなかったのである。例えば、家政婦は皆

淘宝(タオバオ)の認定証をもっているし、もしも契約違反をすると、全額を返金してもらえるのだ。さらに、英語のレッスン、数学オリンピックのためのトレーニング、ケーキ作りの講習など、大衆のニーズに合わせた魅力的なレッスンが次々と登場している。

 

 

今回の“双12”マルチフェアから観察するに、上半期の淘宝(タオバオ)はかなりの大仕事を達成したといえよう。特価のリストを作成し、どのようにバーゲンをPRするか、さらに特価に関連した細かなルールも綿密に作成した。例えば大型スーパーと小さなベーカリーとが提携する場合、多くのメリットを想像するものだ。しかし、現実の問題として、高齢のお客様が携帯電話を取り出し、操作にもたつく際に、店員はどれほどに忍耐と親切を示せるか。この点は高齢者が淘宝(タオバオ)ユーザーになっていけるかどうかのキーポイントとも言えよう。

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実店舗で携帯電話を使った支払いをするのは便利だと多くの人が認めるにしても、ある人々はやはりセキュリティを気にしないわけにはいかないと言う。仮にあなたの携帯電話が盗まれたとして、盗んだ人はあなたの携帯電話のパスワードとあなたの支付宝(アリペイ)にログインするための指紋認証、さらに支払いをする際に求められるパスワードと3つのロック機能を解除することでやっとあなたの口座に手をつけられるのだ。さらに、淘宝(タオバオ)には盗まれた口座からの支払いを賠償するシステム、専門のスタッフが安心のフォローをしてくれるなど、携帯電話での支払いに伴う様々な心配を軽減してくれるシステムがある。

 

前途にはまだ難問を抱えているようにも見える淘宝(タオバオ)だが、Wifiの整備や更なるサービス改善など、消費者としては期待をもって発展を見守りたいものだ。

 

  

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